2018-19年度 青少年奉仕委員長 南 万須子

 ロータリー入会3年目に拝命した青少年奉仕委員長のお役目。ロータリーでは、委員長を頼まれたら、「YES」か「はい」か、どちらかで答える(?)らしく、(当時)大阪梅田RACの担当をするのだろうと気楽にお引き受けしたところ、地区ロータリー青少年交換プログラムのカウンセラー兼ホストファミリーという想定外のお役目もプラスとなって、本当にイベントフルな1年を過ごすこととなりました。記録にも繋がるからと是非にと促されて、この度、当クラブの「ロータリーボイス」に寄稿をすることになりました。

◆ブリトニーを我が家に迎えて

 当地区から米国ミネソタ州へ留学した学生との交換で、ウィスコンシン州から2018年8月19日に関西国際空港に到着したのは、Ms. ブリトニー=リングラー、19歳。空港レストランでの歓迎食事会は、おそらく彼女にとって初めての本格的な日本料理。お腹がすいているだろうに、食事にはほとんど手を付けない様子で、早速のホームシックかと随分心配しました。ホストファミリーになってわかったことですが、かなりの偏食で、ウィスコンシン州生まれにはお魚料理は好みに合わず、ましてや、お醤油味、かつおだしなどは大苦手というので、空港での食事会は納得でした。

 来日当初、本当は韓国へ行きたかったけど留学先が日本になった、と語っていたので、なんとか日本を好きになって帰ってもらいたくて、日本文化に触れられる機会をできるだけ多く与えてあげたいと思い、後述するとおり、音楽鑑賞やボイストレーニングをはじめ、茶道や着物体験など日本文化を楽しむ機会を与えて差し上げました。私自身の趣味や交友関係が、こんなところで活きてくるとは、思いも寄らないことでした。

 青少年奉仕委員長であったことから、地区からの要請があり、当初は、彼女の相談相手・カウンセラー役をお引き受けしたものでしたが、3ヶ月ごとに交代することになっているホームステイ先の2軒目が未定だったため、私のところでホストファミリーも引き受けることにしました。当時、24時間体制の介護事業のマネジメントを業としていましたので、彼女に充分なことをして差し上げられるか自信がなかったのですが、数年前、長男はボストンで、長女はクライストチャーチで、それぞれとても温かい家庭に受け入れて頂いた経験がありましたので、家族の協力も得ながらであれば、何とか彼女の生活を支えられるのではないかと思い決断しました。結果的には、ひとりっ子だった小学生の孫息子が一番の仲良しになって、お互いに沢山の思い出作りができました。

彼女のお陰で、我が家の家族も特別な4か月を過ごすことができました。次に挙げる日本文化体験のうち、お茶席お点前以外はすべて家族と一緒の体験でした。

◆ブリトニー、様々な日本文化との出会い

 今宮高校へ通学していた1年間、かつおだしが苦手なはずのブリトニーが学食で食べていた昼食は、関西風のおうどんでした。節分の巻き寿司は苦手食材ばかりのため、ブリトニー用として作った、薄焼き卵で巻いた牛肉巻き寿司を「美味しい!」と言って丸かぶり。そして、9月にはRACメンバーと共に黄檗山萬福寺での月見の煎茶会に参加してお茶席体験や献茶の見学、12月には東大寺大仏殿などの奈良観光、1月最前列で新春歌舞伎の鑑賞、成人式の日には自宅で振袖着付けを体験して記念撮影、28日は近くのレストランでバースデーを祝い、2月は海遊館と米国の大学受験対策で声楽レッスン受講、3月は千玄室大宗匠の前でお点前披露、片男波部屋の春場所千秋楽祝賀会に出席して「さくらさくら」歌唱、6月は浴衣でお茶席お点前披露、と7月に帰国するまで多彩な日本文化を体験…。
 なかでも、茶道のお点前については、そねざきRCの三好さんが定期的にお稽古をしてくださり、立派に薄茶点前ができるまでに成長しました。滞在中は、当クラブの例会にも参加、会員の皆さまとも知己を得て、森会員や岡山会員のお宅に泊めていただくなど、親交を深めました。そして、2019年7月、ブリトニーはサンクスノートを残して日本を離れました。

◆再び日本に戻ったブリトニーとの再会

 2023年8月、ブリトニーは、Assistant Language Teacher(ALT)の資格を取得して日本へ帰ってきて、現在は群馬県在住、三箇所の高校で英語を教えています。韓国に行きたかった女の子は日本が大好きになって、職を得て、日本に長期滞在のために戻ってきたことは、私にとって大きな喜びでした。
 1年目の年末となった2023年12月、ブリトニーは大阪に「里帰り」したいと連絡を受けました。当クラブのロータリアン大矢会員の別宅を宿泊先にして今宮高校の同級生との時間を楽しんだり、相原会員には、経営されるクリニックの忘年会にお誘いを受けたり、阿江会員には、城崎温泉街や姫路城といった兵庫ツアーに連れ出してもらったりして過ごしたのち、再び大阪へ戻り、李会員のお店で私と合流し、私の家族とお正月をお祝いしたりと、当クラブの会員の皆さまとも連携を取りながら、ブリトニーの「里帰り」を思い切り楽しみました。
 留学当初の言葉とは変わり、今は、大好きな日本でずっと暮らしたいと思っていると言い残して、生徒たちの待つ群馬に戻っていきました。