【社会奉仕活動】2024.6.19出前クラシックコンサート@大阪府立中央聴覚支援学校

2023-24年度社会奉仕委員会
出前クラシックコンサート@大阪府立中央聴覚支援学校 開催報告

社会奉仕委員長 阿江 九美子

 去る、2024 年6月19日(水)、大阪市中央区上町にある大阪府立中央聴覚支援学校において、出前クラシックコンサートを開催しました。

 「出前クラシックコンサート」は、コロナ禍における岡山会長年度の社会奉仕事業として、演奏者のご協力を得て大阪府下にある支援学校での開催を目的として取り組みを始めたものですが、「スポーツ」をキーワードとした当クラブの全員参加型の社会奉仕活動に加えて、より多くの子どもたちに「音楽」の素晴らしさを届ける機会の創出という当該事業を、クラブの新しい継続事業とするため、せめて今年度中に一度だけでも開催できないものかという森会長からの熱い想いを受けて実現したコンサートでした。

 今回は、妻鹿会員とのご縁で、フルート奏者の山本純子さんに企画をお願いすることになりました。山本さんは、子どものための音楽会に参加するなどのご経歴から、聴覚支援学校で教鞭を執られる音楽科教諭の中田宏美先生との間で、きこえない・きこえにくい子どもたちに対して音楽をどう届けるのかについての丁寧で細やかなお打ち合わせを経て、特別なプログラムを立てその台本作りまでしてくださいました。そのご様子に、これこそ「職業奉仕」と、こちらの方が背筋の伸びる思いになりました。
 当日は、山本さんのお声がけにより、メゾソプラノ歌手の肥田真莉子さん、ヴァイオリニストの今西彩菜さん、ピアニストの北村明日人さんがご参集くださり、中央聴覚支援学校の音楽室が、あっという間にミニコンサート会場になりました。山本さん作成のプログラムに合わせて、本物そっくりのコンサートチケットも手作りしました。

 コンサートでは、楽器の紹介クイズや、ピアノの中を覗かせてもらったり、楽器に触れさせてもらったり、誰もが知る名曲の「いいとこどり」を演奏してくださって、子どもたちは、舞台衣装に身を包んだ演奏者たちに圧倒されながらも、手拍子でリズムを取り、笑顔の溢れる時間が流れました。山本さんのプログラムに沿って中田先生がご準備くださったパワーポイントの資料には中田先生の子どもたちへの愛情が溢れていて、子どもたちの理解をアシストしました。こんな心のこもった素敵なコンサートが実現できたことに感無量でした。
 そして、最後の曲。教科書に掲載の「春の小川」。妻鹿会員がフルート演奏を、参加のクラブ会員は事前に中田先生のYouTube で個々に特訓し習得してきた手話で、子どもたちと一緒に「大合唱」。小さな音楽室でのミニコンサートが大きな拍手と共に幕を下ろしました。

 演奏者の皆さん、音楽の中田先生をはじめ学校の先生方。ロータリアンのお仲間と、熱い想いの結集がこれほど素晴らしい時間を紡げるものだと心から感動しました。
 最後にもう一度、心を込めてご参加のすべての皆様に感謝申し上げます。

 最後にもうひとつ。今回会場となった中央聴覚支援学校は、今年度創立124年を迎えるとのこと。17歳で失明し苦労を重ねて実業家となった五代五兵衛翁が、私財を投じ、実弟音吉の助けを得て設立した大阪盲唖院が源流。明治40年、大阪市に移管されたのち数回の改称を重ねますが、卒業生や関係者のお気持ちを踏まえて同校の前身となる「大阪市立聾学校」の名称が正門前に今も併記されています。
 歴代校長のなかには、きこえない子どもたちに口話のみで指導する方針が日本中を席巻し、手話を使うことが否定されていた時代に手話の必要性を強く訴え、のちに「手話の父」と呼ばれた高橋潔校長(映画「ヒゲの校長」(2022年)のモデル)がおられます。現在、日本で手話とともに使われている、50音を指で表す「指文字」を考案したのもこの学校です。そしてなんと、この高橋校長も音楽教師だったそうです。こうした歴史のある学校で、今回、きこえない・きこえにくい子どもたちに音楽の素晴らしさを届けることとなりましたことを一層感慨深く思います。